前回は「即座に次善の策に切り替えた山口多聞〜長い戦場で養われた独特の勘・爆弾から魚雷へ、そしてまた魚雷から爆弾へ・「元に戻す」最悪の判断・大混乱の赤城司令部・完全に読み違えた草鹿龍之介〜」の話でした。
大混乱の各空母:狭い飛行甲板に着艦する航空機と発艦準備の攻撃隊
連戦連勝の第一航空艦隊の空母・赤城・加賀・飛龍・蒼龍。
その全ての空母において、待機している雷撃隊の兵装転換の指令が、目まぐるしく変更となりました。
「魚雷から爆弾へ、そしてまた爆弾から魚雷へ」の時間を浪費するだけの指令。
各空母内の飛行場は、空前の騒ぎとなります。
よしっ!
なんとかやるぞ!
とにかく
頑張るぞ!
司令部の「兵装再転換」の命令により、交換した爆弾を外し、再度魚雷に付け替える作業が進みます。
一言に「付け替える」と言っても、大変な作業です。
魚雷は数百キロあり、陸用爆弾は800キロあります。
この重たい爆弾・魚雷を台車に乗せて移動させて、数人がかりで付け替える作業を進めます。
おい、
魚雷をこっちだ!
やっと、
爆弾を外したぞ!
爆弾は、その辺に置いて、
魚雷を早く!
そうだな。
とにかく、魚雷だ!
この間、ミッドウェー島攻撃に向かっていた100機以上の飛行機が空母に帰還してきます。
ミッドウェー島を
爆撃し、戻って参りました!
ミッドウェー島攻撃に向かった戦闘機・爆撃機など、多数の航空機が戻ってきました。
着艦して、
体制整えたら、また出撃だ!
そして、各空母に着艦を試みようとします。
例えば、かなり大型の空母であった空母赤城の全長は約261m、幅は約29mです。
飛行機のサイズを考えれば、このさほど広くない飛行甲板。
そして発艦する航空機を下階の飛行場で用意して、エレベーターで飛行甲板に上げます。
その中、着艦してくる航空機が来たので、大混乱になりました。
すまない!
ちょっと上空で待っていてくれ!
了解!
しばらく「上空で待機」することも可能ですが、燃料が限られています。
そろそろ、友永隊を
着艦させないと、燃料切れで海に落ちてしまう・・・
よし、友永隊を
少しずつ着艦させよう!
発艦する航空機の
準備も忘れるな!
よしっ!
やるしかないなっ!
各空母は、大荒れで収拾のつかない状況となります。
その中、米軍の雷撃隊・爆撃隊が次々に各空母へ襲いかかってきます。
攻撃から防御へ回った機動部隊:あべこべの状況に追い込まれた空母たち
日本から遥かに遠いMidway島まで「攻撃に向かった」連合艦隊の大部隊。
兵装転換により「発艦できない=攻撃できない」状況が続きます。
そして、攻撃から防御に回ります。
「攻撃に行ったのに、防御を続ける」という、あべこべの状況となります。
各空母艦長の懸命な操艦と零戦の迎撃によって、辛うじて米軍の攻撃を回避します。
この頃、ちょうど米空母を発艦した爆撃隊・雷撃隊も攻撃に加わり、次々と米軍がやってきます。
敵機来襲!
雷跡(魚雷の跡)
左30度!
面舵一杯!
当時は能力が高く、百戦錬磨の達人たちが操縦する零戦で、米戦闘機を次々と撃墜します。
やったぞ!
とにかく、
落ち着いて操艦するのだ!
取舵
一杯!
各空母の百戦錬磨の艦長たちが、必死に操艦を指揮しました。
そして、米海軍が投下する魚雷と爆弾を懸命に回避します。
逃げ惑う日本空母:祈る思いで発艦を急がせる山口司令官
米軍の攻撃を回避して、逃げ惑う日本の空母。
飛龍も
敵の攻撃から回避せよ!
山口司令官が指揮する第二航空戦隊の空母飛龍・蒼龍および軽巡・駆逐艦たちも必死に攻撃を回避します。
各空母の飛行場で、必死に発艦準備を進める将兵たち。
おい、
魚雷を早く!
今すぐ、
移動します!
とにかく
急げ!
赤城に魚雷、
向かってくる!
取舵一杯!
魚雷の
回避成功!
爆弾
飛来です!
面舵一杯!
なんとか
直撃を交わしました!
ふぅ〜・・・
なんとか早く攻撃隊が発艦しないか・・・
次々やってくる米軍の、度重なる攻撃をなんとかかわす赤城。
ふーっ・・・
間一髪・・・
かなり
危なかった・・・
兵装転換、
急げ!
飛行場、
急げ!
大急ぎで
やっております!
飛行場を叱咤激励する草鹿参謀長でした。
飛龍が、
飛龍が最初に発艦するのだ!
急いでくれ!
もう
少しです!
よしっ!
頼んだぞ!
なんとか・・・
なんとか、
早く発艦するのだ!
祈る思いで、魚雷への兵装転換完了を待つ山口司令官でした。
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