前回は「悲壮な気持ちの山口多聞〜家族への最後の挨拶・突貫工事で修理した空母ヨークタウン・ミッドウェー島の防備体制構築・解読されていた日本軍の暗号〜」の話でした。
攻撃隊を分ける日本:最もやってはいけない「戦力分散」
米空母は出てこないと、
思うが・・・
米空母が出てくる時は、
米空母を叩け!
狙いはミッドウェー島の
米軍基地だ!
山本長官の「二兎を追う」作戦。
さらに連合艦隊と軍令部の意思疎通の悪さから、空母は分散されることになりました。
戦争・合戦で最も重要なことは「戦力の集中」です。
そして、最もやってはいけないことは「戦力の分散」であることは古今東西共通したことです。
「戦力の分散」は、「二手に分けて挟み撃ち」など意図的な場合は良いです。
ところが、「単なる戦力分散」は戦争・合戦において「絶対に避けなければならない」ことでした。
主力攻撃部隊「空母機動部隊」の事実上の作戦指揮者である、草鹿 龍之介 第一航空艦隊参謀長。
山口司令官の海兵1期下の、41期卒です。
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 第一航空艦隊司令長官 |
39 | 伊藤 整一 | 軍令部次長 |
40 | 山口 多聞 | 第二航空戦隊司令官 |
41 | 草鹿 龍之介 | 第一航空艦隊参謀長 |
はあ・・・
そうですか・・・
空母とミッドウェー島を、
まとめて攻撃するとなると・・・
かなりの負担が、
かかりますが・・・
爆撃と雷撃の大きな違い:爆弾と魚雷の役割
海軍の攻撃は、大きく分けて爆弾と魚雷の二種類があります。
爆弾は、上から落としてドカン!と爆発します。
急降下爆撃では、上空にいる攻撃隊が「急降下」して、敵の艦隊に爆弾を落とします。
対して魚雷による攻撃(雷撃)は、攻撃機から落とした魚雷が一度海に沈んで突き進みます。
そして、艦船の横腹に進んでドカン!と爆発します。
このように、全く異なる性質を持っていました。
爆撃:爆弾による攻撃。主に基地攻撃。
雷撃:魚雷による攻撃。主に艦船攻撃。
(急降下)爆撃で艦船を攻撃することは、艦船に大ダメージを与えます。
艦船に対しては、魚雷の方が遥かに大きな致命的ダメージを艦船に与えます。
それは、海中にある艦船の横腹に穴が空くと、海水が入ってきて、船が沈んでゆくからです。
一方で、魚雷で基地攻撃しても、あまり意味がありません。
護岸を破壊する程度で、強固な陸地はダメージにならないからです。
大いに奮起する山口多聞:最悪の判断をした山本長官
敵空母攻撃隊と、
ミッドウェー島攻撃隊を分けろ!
ということは、爆撃隊と雷撃隊を
半々ですか?
うむ・・・
そうだ!
爆撃隊も雷撃隊も、艦上攻撃機が主体となります。
飛行機が同じ艦上攻撃機で、「爆弾と魚雷のどちらか」を装着して攻撃します。
・・・・・
草鹿参謀長は悩みます。
ならば、ミッドウェー攻撃隊は
半分ですか・・・
そうだ!
出てこないかも
しれないが・・・
米空母が出てきた時は、
雷撃隊で空母を叩け!
常に半分の攻撃隊は
雷装(魚雷装備)して、待機していろ!
少ない攻撃隊が、
さらに半分になりますか・・・
大丈夫
だろうか?
攻撃目標を分ける最悪の判断でした。
この「攻撃目標を分ける」デメリットは、優等生肌であった山本長官は気づいていたでしょう。
爆装と雷装を分けるのは、
不合理な面があるが・・・
乾坤一擲の戦いを
米海軍に挑み、一気に雌雄を決するのだ!
これを聞いた山口司令官。
この作戦は
無茶だ!
日本の空母が、
たった四隻なのに・・
さらに攻撃力を
半分にするのか?
攻撃力が
全然足りない!
目標は
絞らねば!
ところが、山口司令官には全く決定権はなかったのでした。
攻撃隊のNo.2とも言える立場の第二航空戦隊司令官だった山口司令官。
なんとしても、
我が二航戦(第二航空戦隊)が奮戦してみせる!
絶望的な状況の中、大いに奮起する山口多聞でした。
次回は上記リンクです。