苛立つ山口多聞〜戦艦大和の位置と「守られる」大和・戦艦大和建造の目的・軍最高の機密「軍機」・世界最強の戦艦の肖像・日本海海戦と大艦巨砲主義〜|山口多聞24・ミッドウェー・人物像

前回は「悩むニミッツ長官〜圧倒的優勢だった日本海軍・ヨークタウン修理に必要な時間・90日を3日へ・米軍の底力・莫大な溶接電力と計画停電〜」の話でした。

山口多聞(Wikipedia)
目次

戦艦大和建造の目的:軍最高の機密「軍機」

戦艦 大和(Wikipedida)

「世界最大の戦艦」を目指して建造された戦艦大和。

大和の建造は、軍最高の機密「軍機」扱いでした。

当時、軍部での機密の取り扱いには、5段階ありました。

情報機密名称重要度(5段階)
軍機5
軍極秘4
極秘3
2
部外秘1
日本の軍部の情報ランク

海軍・日本政府の最高幹部クラス以外は知らないように秘匿されて、建造された戦艦大和。

米海軍は、太平洋と大西洋を移動する際に、パナマ運河を通行する必要があります。

そのため、「パナマ運河を通行できるサイズ」が、米海軍艦艇の最大サイズとなります。

このサイズを超える大きさが、戦艦大和のサイズでした。

旧日本海軍将兵A

戦艦大和より
大きな戦艦は、米国はつくれない。

旧日本海軍将兵B

世界最強の戦艦を
作るのだ!

旧日本海軍将兵A

世界最強の戦艦を
我が日本に!

そして、世界最強戦艦が誕生しました。

世界最強の戦艦の肖像:日本海海戦と大艦巨砲主義

戦艦三笠と東郷平八郎長官(Wikipedia)

海戦のモデルは、ロシアに対して完勝した日本海海戦でした。

そして、日本海軍は世界各国の海軍と比較して、さらに大きく「大艦巨砲主義」に傾倒しました。

旧日本海軍将兵A

海戦は、なんといっても
戦艦の砲撃力が中心だ!

旧日本海軍将兵B

空母は
援護射撃程度だな・・・

「巨大戦艦の巨砲」で「敵戦艦の砲弾が届かない位置から砲撃する」ことが目的でした。

旧日本海軍将兵A

敵の砲弾が届かない位置から、
一方的に砲撃するのだ!

旧日本海軍将兵B

アウトレンジ(範囲外)の
戦法だな!

さらに、

旧日本海軍将兵B

分厚い装甲で、
不沈戦艦にするのだ!

この理念のもと、究極的防御力目指して頑丈に造られました。

名前は様々な案が出ましたが、最終的に「日本」の別の名前である「大和」に決まります。

旧日本海軍将兵A

我が国の別名称である
「大和」を背負う世界最強戦艦!

旧日本海軍将兵B

いわば、我が国が
浮かんだ戦艦になったんだな!

「戦艦大和」の存在自体が「日本」の姿となりました。

大和は「日本の守護神」としての役割を期待されました。

「最大の攻撃力と最高の防御力を併せ持つ」日本海軍秘蔵の戦艦大和。

ついに初陣となります。

苛立つ山口多聞:戦艦大和の位置と「守られる」大和

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

米軍は総力を上げて、日本側の情報を集めました。

万全の準備を進める中、ミッドウェー作戦が発令されました。

山本五十六

私が大和に乗り込み、
主力部隊を率いる!

攻撃の主力は、山口司令官の所属する「機動部隊」です。

ところが、山本長官が率いるため、戦艦大和の部隊が「主力」となります。

ミッドウェー作戦地図(歴史人 2021年8月号 ABCアーク)

この「主力部隊」の位置が、大きな問題でした。

なんと、攻撃の最前線の空母機動部隊の遥か後方、約300マイル=約500kmに位置していたのです。

艦船の時速は、種類によります。

戦艦大和(Wikipedida)

戦艦大和は重い船体のため、最高時速27ノット(50km)でした。

つまり「最高時速で向かっても10時間かかる」位置に、戦艦大和はいたのでした。

山口多聞

戦いが始まってから、
大和は間に合うのか?

この「主力部隊が遥か後方にいる」理由は、諸説あります。

第一航空艦隊 旗艦 空母赤城(Wikipedia)

本来ならば、攻撃に弱い空母に対して、

戦艦大和

戦艦大和が、
盾になってみせる!

このくらいの男気が欲しいものでした。

実際には、逆に大和が前線ではなく「守られる」立場でした。

山口多聞

これは、戦艦大和の
出番があるのだろうか・・・

山口多聞

大和建造への思いと、
ズレてないだろうか・・・

山口多聞

これは、
全然違うぞ!

何もかもがチグハグな状況に苛立つ山口司令官でした。

次回は上記リンクです。

新教育紀行

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