前回は「合格のポイント・偏差値への向き合い方〜合格最低点のライン・入学試験の性質・志願者の学力を点数に置き換えて審査・偏差値と合格判定・問題と採点基準〜」の話でした。
点数と偏差値への考え方と合格への姿勢:減点主義と加点主義
今回は、受験における「中学受験の出題者・採点者は考えていること」から合格への道を考えます。
試験は基本的には「減点主義」です。
想定される模範解答というのがあり、算数などで「少し違う切り口の解法」などはあるでしょう。
基本的には「満点となる回答例」があります。
それから逸脱した部分・欠けている部分が減点されて点数が出ます。
100点満点であれば、出来なかった部分が減点されてゆきます。
そして、「減点の合計点」が100点から引かれて点数が出ます。
これとこれとこれが
間違っていて、合計25点減点・・・
そこで、この試験の
点数は100-25=75点だ・・・
となります。
世の中で「優れた業績」「優れた研究」などは、基本的に加点主義となります。
サイエンスにしても、絵や建築などの芸術にしても「想定されている満点」というのはありません。
「想定されていないこと」を達成した人に対して、
この方の成し遂げたことは
大変素晴らしい・・・
これはこれまで全くなかった
発想だ・・・
その筋のプロなどの方々が認めます。
そして、ノーベル賞などの大きな賞などが与えられることになります。
入学試験における総合点:数値化できる能力と学校との相性
偉業で「想定できること・数字」はあります。
例えば、野球の世界で素晴らしい実績をあげた方。
これは打率やホームラン数などで、ある程度は賞賛されるに相応しい「想定される数値」等があります。
米大リーグでも大活躍して「野球の新風」を巻き起こしたイチロー選手。
抜群の打率で、
今日のイチローは
5本ヒットだって!
おいおい、
5本ヒットってジョークだろ?
米国全土の人々が驚嘆した強烈な打率を叩き出しました。
イチロー選手の最高打率は0.372(2004年)で、通算打率は0.311です。
野球の世界では概ね「打率3割を超えると強打者」と言われます。
目標値がある場合がありますが、基本的に偉業は加点主義です。
中学受験の算数を考えてみましょう。
比較的定型タイプの問題が数多く並んでいて、「答えのみ書きなさい」という形式の学校。
その学校は「子どもの学力を計測して点数化する」ために問題を出しています。
この考え方ですと「減点主義」になると考えます。
大問形式で記述式中心の中学校の出題者は、スタンスが大きく異なると思います。
おそらく「学力を計測・点数化」以外にも、大事なことを考えているでしょう。
それは、
志願者の現時点の学力だけではなく、
将来性はどうだろうか?
あるいは、
志願者の子と
当校の校風・カラーは、どの程度合うだろうか?
などを考えているでしょう。
出題者・採点者が考えていること:明確な採点基準と短い採点期間
受験の採点は短時間で実施しなければなりません。
さらに採点者が複数の場合、単なる「答えのみ」や「選択肢のみ」であれば、
これは◯、
これはX(バツ)!
と基準が明確です。
記述や算数の過程を記載する場合は、「採点者による点差が出ないようにする」ために、
ここまでで3点、
ここまで行ったら5点・・・
など基準を明確に定めているはずです。
中学受験では、基本的に各大問の出題者と採点者が一致しているでしょう。
受験者数が少なければ「一人で採点」か「補佐役がもう一人」でしょう。
受験者数が多い場合は数名で行うかもしれませんが、中心となる「取りまとめ役」がいるはずです。
そして、その中心人物が採点の方針を決定するのでしょう。
親の方で算数・数学が好き・好きでない方、様々いらっしゃると思います。
ご自分の好きなことで「自分が出題者だったら」を考えてみて下さい。
自分が好きなことは、考えることが楽しいです。
記述式の学校の数学科の教員は、数学・算数が大好きで数学科出身の方が多いです。
また、勤務先の中学校の校風・考え方に共鳴しているから、その学校で教鞭を取っているのでしょう。
「自分が好きなことの出題者だったら」を想像してみましょう。
こういう問題を
出したら、どう答えるだろうか・・・
そういう想像力もまた、合格へ結びつく大きな力となります。
次回は下記リンクです。