前回は「「ペーパー試験軽視・将来性重視」の米アイビーリーグの大学入試〜各大学の独自カラーで選抜する米大学・筆記試験中心の日本の大学・「書いてみる」ことを積極的にやってみる・◯Xを意識しすぎない〜」の話でした。
子どもの未来・大学受験とペーパー試験
中学受験・高校受験・大学受験、いずれの受験生の方々も、「どう成績を上げるか」が主眼になります。
男子小学生もっともっと
成績を上げないと・・・
女子小学生どうしたら、
算数の点数が上がるかな・・・
これは当然のことであり、「成績=点数」によって基本的に合否が判断される受験。
受験生本人の視点から考えれば「点数が全て」という思考になるのは、やむを得ないことです。
この場合、「受験を突破するために勉強し点数を上げる」が目的となりがちです。
受験生が「勉強する」のは、本来は「合格すること」が目的です。
・自分の目標とする志望校に「合格したい」という強い気持ち
・「点数・偏差値・成績を上げる」ことは目標へのプロセスの一つ
2000年頃から、日本の受験においてAO入試や特殊入試が盛んになりました。
それでもまだまだ、「ペーパー試験による一発勝負の一般入試」が主体の日本の受験界。
対して、米国の大学受験では「高校生活で何をしてきたか」やエッセーが重視されます。
もともと「ペーパー試験軽視」の姿勢だった米国の超名門校・アイビーリーグでは、
ハーバード大学SAT（日本の大学共通試験のような試験）の
点数は提出必須とはしない！
「ペーパー試験をさらに軽視する」動きが明確に出てきました。
具体的に「どの程度SAT（ペーパー試験）の成績不要」なのかは、大学にもよると考えます。
つまり、米国アイビーリーグなどの大学は、
イエール大学今持っている「ペーパー試験で測れる学力」は
大事だが・・・
イエール大学それよりも、志願者の人間性・個性の方が
もっと遥かに大事ではないか・・・
イエール大学そして、大学入学時点の学力よりも、
「大学でいかに一生懸命学ぶか」が遥かに大事だ・・・
「試験で測れる能力より大事なことがある」姿勢を明確に打ち出しました。
この米国の大学入試の方法によると、「高校生活全体が大学受験に関わる」ことになります。
日本の多くのペーパー試験「一発勝負」とは、「完全に反対の姿勢」であり、賛否両論あります。
「学生の適性を測る」上では、米国の姿勢の方が合理的であると考えます。
一方で、オリンピック競技の本番なども「一発勝負」です。
そのため、「一発勝負」が悪い・劣るわけでもなさそうです。
京都大学の特殊入試で、2026年度から「女性枠」設立が決定しました。（上記リンク）
この「特殊入試」は一般入試とは異なる試験方法ですが、大学共通試験等ペーパーテストは必須です。
子ども達の未来は様々で、「進学する大学」が必ずしも決定的影響を与えるわけでもありません。
子どもが進む方向によっては、様々な選択肢があります。
それでも、「進学する大学」は「出身校」として一生つきまとう存在になります。
海外の大学へ進学することも大いに良いことなので、一つの選択肢と考えると良いでしょう。
一方で、日本の大学進学を考えるとき「ペーパー試験での突破力」は、当面は避けては通れなさそうです。
東大入試数学で教授陣が驚く「想定外の解法」
今回は「学校側の視点」から合格への道を探ります。
以前、東京大学の入試数学の採点担当者の方から、面白い話を聞きました。
20年以上前で「かなり昔」ですが、状況は大きくは変わらないと考えます。
年度によりますが、東京大学の数学の入試問題は、基本的にかなり難しいです。
年度によっては、「易しい問題（一定の学力を持つ方にとって）ばかり」の年もあるようです。
時には、「難しすぎて点差がつきにくい」問題も出題されます。
記述式の採点を慎重に行なって、「出来ているところ」までは点数を与えいます。
東大教授Aここまでは
出来ているから、5点・・・
この「難しい数学」で高得点を挙げることができる志願者は、
男子高校生物理でちょっと
勘違いをしてしまった・・・
他の科目で多少ミスを起こしても、
男子高校生でも、なんとか
合格できた・・・
合格する可能性は高いでしょう。
「難しい」といっても「問題のタネ・ネタ」はあり、高度な数学定理などが裏に隠れています。
そして、教授たちは高校生向けに翻訳し、少しひねって、
東大教授Aこの問題は
解ける？
出題して、志願者達に問うています。
問題を作っている側は「タネ」を知っていますし、出題者は数学のプロです。
基本的な解答方針や「想定される別解」も、ある程度は頭にあります。
それでも、教授たちが採点していると、時々、
東大教授Aおおー！
この解き方は！
答案を見て、「教授たちの歓声が上がる」ことがあったようです。
この歓声の理由は、
東大教授Aなに！
こんな考え方があったのか！
東大教授Bこの解法は
思いつかなかった！
このような、「全く想定していない解法」があるそうです。
そういう答案をつくってくる学生がいて、その答案を見た教授陣。
教授たちが、
東大教授Aこれはすごいな・・・
一本取られたな・・・
東大教授Bこんな切り口が
あったのか！
高校生程度の年齢の受験生の答案を見て、
東大教授Aむむ〜！
なるほどね・・・
思わず唸るそうです。
こういう志願者が、必ず年に数人はいるようです。
「自分の考えを見せる」記述式試験の姿勢
中学受験において、採点に関する話はなかなか漏れ伝わってこないです。
それだけ、きちんと情報の管理をしているのでしょう。
内容としては、大学受験数学の方が中学受験算数より難しいです。
中学受験は手法が「算数に限定されている」中、解くのが難しい問題は多々あります。
見方によっては「大学受験の問題よりも難しい」問題も多々あります。
解答欄が「答えだけ」の試験が多い中、記述式や「一部の考え方を記載する」形式の試験が増えています。
出題者答えだけでなく、
考え方も書きなさい。
そして、記述式ではなくても「考えている思考の痕跡を書く欄」がある試験形式もあります。
「答えだけ」なら「答えを採点するだけ」になりますが、記述の場合は採点方法は多岐に渡りそうです。
ここでは、記述式またはそれに準じた形式の算数の試験に関して考えてみます。
中学受験の算数の問題において、教師が「唸る」までいかなくても、
採点者なるほど！
これは面白い考え方だ！
採点者ちょっと意外な
考え方だが、良いな・・・
「面白い」や「意外だが良い」と思うような答案を作成する人が、「時にはいる」のでしょう。
算数で極めて優れた解法を示し「算数の優れた資質がある」と考えられるけど、
採点者この子は、算数は素晴らしいのだが、
総合点が今一つだな・・・
このようなこともあるでしょう。
他の科目で多少点数が低く「合格最低点に達していない」場合でも、
採点者これは中学高校で
伸びる才能かもしれない・・・
採点者総合点は少し合格ラインに
足りないが・・・
採点者この子は
合格にしよう！
合格とすることはあるのではないでしょうか。
逆の立場=中学校側であれば、そういう「特殊な能力を持っている可能性のある」志願者は、
採点者こういう子は
ぜひ入学してほしい！
学校側は、「入学して欲しい」と考えるでしょう。
小学生に対して、算数・数学的センスを図るのは、非常に困難なことです。
男子小学生S僕は算数は、とても
得意でテストの点も良いよ！
小学生の時に、「算数で素晴らしい能力・センスを見せ、成績優秀だった」子が、
男子高校生S最近、数学がよく分からなく
なってきた・・・
高校生頃、「数学において平凡」になってることがあります。
一方、小学生の時は「それほど目立つことがなかった」のに、
男子高校生T最近、数学が楽しくて、
成績もメキメキアップした！
中学・高校で開眼して、素晴らしい能力を見せつける子もいるでしょう。
特に記述式で、「持てる能力を全て答案用紙に表現する」ことが大事です。
それは、採点者に「才能・能力の片鱗」を見つけてもらえるかもしれません。
積極的に「自分の考えを表現」して、一歩でも二歩でも志望校への合格に近づきましょう。
そして、「記述式が出題されない」タイプの試験を受験する方も、
男子小学生僕の志望校は、
記述は出なそうだけど・・・
男子小学生「出るかもしれない」から、
ちょっと練習しておこうかな・・・
時には「簡単にまとめる」のが良いでしょう。
「少し書いてみる」と思考がまとまって、総合的学力が上がるでしょう。
次回は上記リンクです。
