前回は「最後に受かる子の姿勢〜持てる学力を全力で答案に表現・東大数学の採点で出る「驚嘆の声」・異常に偏った才能を持っていた発明王エジソン〜」の話でした。
守るべき防衛ラインを設定:具体的に各科目の得点設定
今回は「入試当日の試験での目標とする具体的点数」の話です。
試験では「出来るだけ良い点数を取った方が良い」のですが、「具体的な合格ライン」を守ることが最も大事です。
そこで、具体的な防衛ラインを設定することをお勧めします。
試験とは「紙上の戦い」だと思います。
入試問題という相手に対して、問題を解くことは「問題と戦う」イメージで良いかと思います。
そして、「各科目で自らの目標とする点数」を「防衛ライン」として定めて、そのラインを守るようにしましょう。
「受験戦争」という言葉がありますが、受験は「戦争とは全く異なる次元のこと」と考えます。
本当に「生命のかかった戦い」である「戦争」という非常事態。
それは、受験よりも「はるかに困難なこと」でしょう。
一方で、「実際の戦い」において「どのように勝ったのか」は参考になる面があります。
「想定外の事態」が起こっても、
絶対に
防衛ラインは守る!
姿勢を持ちましょう。
防衛ラインのコンセプト:予想外の事態を考慮
今回は、中学受験の開成中学校を例に考えます。
内容は同様なので、高校受験・大学受験などにも役立つでしょう。
開成中学校の配点は、算数・国語各85点、理科・社会各70点、合計310点満点です。
合格最低点は年によって異なりますが、「概ね合計210点を確保すると合格」しそうです。
そこで、「最低限210点の確保」を目標にします。
合格者平均等を考慮すると、下記のような「防衛ライン」が一つの参考となります。
算数:60点(85点満点)
国語:55点(85点満点)
理科:60点(70点満点)
社会:55点(70点満点)
合計:230点(310点満点)
これは少し高めの点数となります。
「防衛ライン」の大事なポイントとは、「予想外の事態を考慮する」ことです。
・出来るだけ頑張って防衛ラインを守る
・当日の出来・調子によって、万が一防衛ラインを下回ってしまっても、合格できる
合格への姿勢:想定外の事態に対処できる姿勢
ミッドウェー海戦で、米海軍に大敗北を喫した大日本帝国海軍。
この敗因は様々であり、最も重大な敗因は「米海軍を軽んじていた」ことでした。
この根幹的敗因がある以上、「何をやっても敗北した」であろうミッドウェー海戦。
戦略・戦術論的視点から考えた時、「全く想定外の事態を考えていなかった」ことが大きな敗因でした。
米空母が出てこない
はずがない!
敵艦隊がいるということは、
必ず米空母は出てきている!
と考えていた山口司令官に対して、
米空母が
出てくるはずがない!
と考えていた草鹿参謀長。
その結果、
先に
発見せる敵は・・・
後方に
空母二隻を伴う!
「全く想定していなかった」米空母発見の連絡が入ります。
しかも二隻。(実際は三隻)
!!!!!!!!!!!!!
ば、
馬鹿な!!!!!!!!
まったく読み違えた草鹿参謀長。
「いないはず」の米空母が三隻も乗り込んできたのでした。
そのため、「完全に想定外の事態」となった大日本帝国海軍。
ここで「勝負アリ」となりました。
「想定外の事態が発生したら敗北」するのではなく、「想定外の事態が発生しても、敗北しない」姿勢が大事です。
上記の例で、各科目で仮に全て防衛ラインを突破されて、5点ずつラインを下回ったとしましょう。
算数:55点(-5点)
国語:50点(-5点)
理科:55点(-5点)
社会:50点(-5点)
合計:210点
このように防衛ラインを下回ってしまっても、上記の合計210点を確保できます。
そして、「ぎりぎり合格ラインを確保」出来るのです。
得意な科目・分野でラインを設定:個性に応じた具体的目標
もし受験生本人が、
算数がとても得意だけど、
国語・社会はそれほどでもない・・・
場合、防衛ラインの点数は下記のような例が考えられます。
算数:70点
国語:50点
理科:60点
社会:50点
合計:230点
得意科目である算数に重点を置いて、「算数の突破力」に期待しています。
ところが、
得意なはずの算数が、
本番で思ったより、全く思わしくない出来だった・・・
でも、気持ちを切り替えて、
他の科目は踏ん張って、防衛ラインを守った!
ならば、
算数:50点(-20点)
国語:50点(ライン確保)
理科:60点(ライン確保)
社会:50点(ライン確保)
合計:210点
「得意の算数」で大きな失点がありましたが、合格!となります。
志望校の過去10年くらいの合格点を元に、このような防衛ラインを考えてみてはいかがでしょうか。
入試当日の難易度によって、点数は大きく変わります。
目標とする具体的な点数が頭にあれば、「どの程度出来れば、合格できそうだ」という具体的イメージが湧きます。
具体的な目標値があれば、試験当日も、
これくらいで
大丈夫なはず!
と自信が出ることでしょう。
そして、肝心なことは、
絶対に
合格したい!
という気持ちを持つことです。
志望校の過去の合格ラインから、受験生本人の学力・適正・性格を考慮して「合格の防衛ライン」を設定しましょう。
次回は下記リンクです。