前回は「速さと比・旅人算の問題をシンプルに考えるコツ〜図を見ながら考える・ケアレスミスを避けるコツ・スイスイ進まずに図や絵を確認・問題15(2)(3)解法A〜」の話でした。
速さと比・旅人算の問題が分かるコツ:「同じもの」を比較
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今回は、前回までに考えた解法とは別の解法をご紹介します。
前回同様に、まず絵を描きながら「どこからどう考えようか」と思考しましょう。
原題は(1)のみで、この時は、前々回ご紹介した解き方が最もシンプルで良いでしょう。
今回は「速さと比」の問題で、比較的多い「時間を未知数」にして解いてみましょう。
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上の絵のように、「AとBが会うまでの時間」を未知数設定します。
そして、「出会ったところ」と書くのは時間がかかるので、「P」と設定します。
「答えのみ」であれば、自分が分かっていれば、こういう「地点設定等は不要」です。
一方で、記述やプロセスを書くことが求められる場合、「出来るだけ簡略化する」のは大事です。
・固有名詞がなく「AとBが出会ったところ」等はPやSなど、適当に簡略化
・「かかる時間」や「距離」は、文で説明するよりも、図に描いて表現
ここでは、未知数の設定を文章で説明していますが、上記の通り「図だけ」でも良いでしょう。
文章を書くと時間がかかりますが、この方が丁寧であり、
なるほど、
そう考えるんだね・・・
採点者に、思考の流れが伝わるので良いでしょう。
「答えのみ」では「自分が分かれば良い」ので不要ですが、簡単にメモすると自分の思考が整理されます。
こういう文を書くのは「ちょっと時間がかかる」のですが、書いてみると、
この未知数を
求めるには、どうしようかな・・・
自分自身の思考の流れが出来る効果があるので、試験以外の勉強の際は書くと良いでしょう。
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AとBの速さの比や、距離の比が分かるので、Aが博覧会場までかかる時間が計算できます。
時間を未知数にしたのは「Bは最後に60秒(1分)」かかることから、「Bの到達時間」が分かるからです。
これで、全体的な見通しが立ちました。
前々回同様、「AとB」より「Aと動く歩道」と考えて、速さの比が分かります。
速さの比が分かったので、「速さの逆比が時間の比」となります。
ms15_205tsこの比の関係で、
一気に未知数が分かるね!
速さ(旅人算)でもニュートン算等でも、「比の問題」は「同じものを比較する」のがポイントです。
・距離や時間など「同じもの」を比較
・「速さの比」が分かったら「時間の比に置き換える」など
さらに未知数設定する考え方:「手が止まる」より「手を動かす」
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未知数が計算できますが、ここで「知りたい時間」は出会うまでなので、上記のように計算します。
ここで、
時間が求まったけど、
速さが分からない・・・
このように「手が止まる」ことがあります。
解法A(上記リンク)でご紹介したように、スパッと出来れば良いですが、
困った・・・
どうしよう・・・
困った時は、「さらに未知数設定してみる」のも一つの手です。
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そこで、「動く歩道の分速」を未知数設定して、考えてみましょう。
すると、「時間と速さ」とは異なる「Aの歩幅」も「距離として数式化」することが出来ます。
「速さ・旅人算」の問題で「最も分かりやすいのは、距離」です。
そこで、「様々な量・大きさを距離に集約化する」のは、最も基本的で有効な考え方です。
・様々な量・大きさを距離(時間)に集約化して、式で表現
求めた「出会うまでの時間」を使って、「動く歩道」の速さを求めることが出来ました。
ms15_209tsここからは、解法Aと同様に、Aの速さも求まります。
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(2)は(1)で考えた結果から、すぐに求まります。
(3)も(1)から、すぐに出来ました。
今回ご紹介した解法Bは、解法Aよりも「やや力技」な解き方です。
(1)のみであれば、明らかに解法Aの方がシンプルで良いでしょう。
一方で、仮に(1)〜(3)の問題ならば、解法Bも良い点があります。
(1)のみである場合、解法Bは「遠回りな解法」ですが、「解けた方が良い」です。
解法Bでは「未知数を二つ(二回)設定する」ので、ちょっと大変な感じもします。
こういう問題を考える時は、このように「異なる解法で考える」と思考力がつきます。
・問題を多角的に見ることができ、横断的思考が身に付く
・「一つの解法」に限らず、「何らかの方法で解ける」思考力アップ
また、上記の通り、
困った・・・
ここからどうしたら・・・
悩んで「手が止まる」よりは、未知数設定など「手を動かす」方が良いでしょう。
この「手を動かす」は、「むやみに動かせば良い」というわけではありません。
「手を動かす」と、
ひょっとして、
これで出来るかな・・・
「何かに気づく」可能性もあります。
今回は、解法Aと解法Bで異なる視点から「速さ・比の問題」を考えてみました。
こういう考え方が一つしっかり出来ると、応用力がついて「似た問題も解ける」ようになるでしょう。