速さと比・旅人算の問題を解くコツ〜まず状況を的確に描く・式と図を行ったり来たりする思考・動く対象を分析・問題15(1)解法A〜|武蔵中1990年算数1・過去問・中学受験

前回は「動く点・動点と新たに出来る正方形の軌跡のコツ〜正方形の性質・仲間の点同士と線同士を探す姿勢・同じ図形と相似形を探す・「固定の点」を基準に考える・問題14(3)解法〜」の話でした。

目次

速さと比・旅人算の問題を解くコツ:まず状況を的確に描く

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今回は、上の問題で速さと比の問題を解くコツを具体的に考えてみましょう。

この問題は、原題は(1)のみで、(2)と(3)は筆者が追加しました。

実は、この問題は、筆者が武蔵中学を受験した時の第一問でした。

筆者

もう30年以上前で
懐かしいです・・・

「ちょっと昔」の1990年に出題された、この問題に取り組んだ方は少ないでしょう。

原題の(1)のみで、小学校六年生の8月〜10月前後の時期にサラッと出来たら、自信を持って良いでしょう。

10分〜20分ほど、ぜひやってみてください。

この問題は「難問ではないですが、ちょっと難しい」です。

このように「二人が歩いて出会って・・・」という問題は、数多く見られる頻出タイプです。

それらの速さと比の問題は、多くは「速さと時間」が登場します。

確かに、時間と速さが
多いけど、A君の一歩の幅?

「一歩の幅」と
言われても・・・

速さ・時間でない「一歩の幅」が登場する問題は、少ないでしょう。

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早速解いてみましょう。

こういう問題は、「まずは状況を的確に描く」ことが最も大事です。

描かなくても、
問題文が短いし、分かるよ!

「描かなくても分かる」と思っても、まずは描くことが大事です。

上のように、駅と博覧会場を描きます。

この時、「博覧会場」とは書かずに「博」など略して表現することが大事です。

算数は「思考する時間が大事」なので、「博覧会場など、長い漢字は必ず略す」のが大事です。

もっと簡単に「駅」を「え」、「博」を「は」と表現しても良いでしょう。

算数の記述の解答は「分かれば良い」くらいな感じが良いでしょう。

そして、「動く歩道」がポイントになるので、「足元に動く矢印」で状況を表現しています。

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そして、問題文にある「84歩」「48歩」と「60秒」を描きます。

「A君とB君が出会う」のも、きちんと「出会うイメージを描く」と良いでしょう。

状況を的確に描く

・登場する「駅」「博覧会場」等の固有名詞は、「駅」「え」など略して表現

・「動く歩道は足元の矢印」など自分なりに解釈して、登場する量・時間等を記入

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出会うまでに「歩く歩数」か「歩く時間が異なる」のは、超典型問題なので、

あっ!
分かった!

駅と博覧会場から
出会ったところまでの比が分かるね!

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ここで、「7:4」という比が分かり、解くキッカケをつかむことができました。

ここで、多くの方が、

でも、ここから
どう考えればいいんだろう・・・

手が止まってしまう方もいらっしゃるでしょう。

途中まで「歩数」で
最後に「時間」で混乱するね・・・

この「歩数」と「時間」が「どちらかだけ」だったら、比較的解きやすいです。

これが「混ざっている」と、「混乱してしまう」ことが多いです。

このように様々な量が混ざっている時は、「同一の量を比較」するのが大事です。

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A君は「出会うまで84歩」「出会ってから48歩」で、「歩く時間は一定」です。

そこで、この「歩数の比」は「時間の比」でもあります。

そっか!
これで二人の速さの比がわかるね!

そもそも「出会う時間まで同じ」なので、「距離が7:4」なので「速さも7:4」です。

色々な量・長さ・時間等が登場する問題

・同一の量・長さ・時間等を比較して、比を考える

式と図を行ったり来たりする思考:動く対象を分析

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これで、A君とB君の速さの比が分かります。

ここから「A君とB君」を比較しても良いですが、「B君は歩かないで、動く歩道が動く」事に注目します。

A君と動く歩道の速さを、それぞれ未知数で設定してみましょう。

そして、A君が移動する速さは「A君の歩く速さ+動く歩道」です。

このように「動く対象を分析」すると、問題の本質が考えやすいでしょう。

上のように「動く歩道とA君の速さの比」が求まりました。

ここまでは
分かったけど・・・

「問題が解けてきたのに、止まってしまう」ことが、算数では「よくあること」です。

図を描いて、式を立式して考えるフェーズに移行すると「式のみで考える」傾向があります。

こういう時は、「もう一度問題文を読む」のも良いでしょう。

そういえば、A君の
一歩の幅を使ってないね・・・

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そして、もう一度状況を描いた図を見てみましょう。

「歩数」がメインですが、「A君の歩幅」も図に描くと良いでしょう。

「動く歩道」のみのB君の方が遅く、A君が同じ距離を移動した後に、60秒=1分移動しています。

ここで、A君の方は「動く歩道+A君が(84歩と48歩)歩いた」事になるのが鍵です。

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すると、A君が博(博覧会場)に到着した時、B君は「A君が歩いた距離手前にいる」事になります。

これで、B君=動く歩道の
分速が分かるね!

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A君が132歩歩く距離を、1分で「動く歩道は移動」するので、動く歩道の速さが求まりました。

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ここまで来ると、前の方で求めた「速さの比」を考えて、A君の速さが求まりました。

このような問題を考えるときは、「式と図を行ったり来たりする思考」が大事です。

「図を描くのが大事」は分かっていても、「図から式に行く」と図を忘れてしまうことがあります。

そして、「途中で止まった」時は「図に戻る」と気づくことがあるでしょう。

式と図を行ったり来たりする思考

・まず「図を描いて状況把握」して、立式

・途中で行き詰まったら、式から図に戻って「式と図を往復する」思考

今回は、説明することと記述式を意識して、答案風に書きました。

もう少し説明を飛ばしても良いですが、記述では「式の羅列のみ」は避けましょう。

「何をどう考えているか」を端的に説明すると良いでしょう。

次回は(2)(3)を解きます。

また、(1)は別の考え方もあるので、それも後ほどご紹介します。

次回は上記リンクです。

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