理科の記述力アップと基礎確立の勉強法〜身近な現象や事柄を知る・自然界のモノは多様・感覚を大事にする姿勢〜|様々な性質4・武蔵中2022年理科・過去問・中学受験

前回は「身近なことに興味持って学力アップ〜生物にとって超大事な窒素・コンデンサーの役割・直流と交流〜」の話でした。

目次

理科の記述力アップと基礎確立の勉強法:身近な現象や事柄を知る

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前回に続いて、(7)へ進みます。

前回同様「冒頭の内容を説明し、当てはまらない・間違っている選択肢を全て答える」です。

問題文は(1)の部分に記載しているので、上記リンクをご参照ください。

今回は、窒素に関する問題です。

大学受験においては、国立大学などで記述式の試験が比較的多い傾向があります。

中学受験においては、記述タイプは比較的少数で、記述を出題する学校は限られる傾向があります。

上記リンクでは、記述が多い武蔵中・麻布中などの学校の「記述への姿勢」をご紹介しました。

そして、記述は社会・国語などの文系科目か算数の一部でよく見られ、理科は少ない傾向があります。

知識や図やグラフなどを読み解く傾向が強い理科においては、選択問題が多いと思います。

武蔵中で2022年に出題された選択問題に記述を追加した本問は、理科の基礎確立には良いでしょう。

今回は「血液とは?」を考えます。

血液は、皆さんの体の中を毎日駆け巡っている「極めて身近な存在」です。

血液とは何か?
とは考えたことがなかったけど・・・

血液検査とかで
見たことはあるけど・・・

体育で怪我をしたときに、
結構血が出て、保育室で先生に治してもらった・・・

新教育紀行
多摩六都科学館(新教育紀行)

あまりに身近すぎて、意外と「存在を意識することが少ない」のが血液や血管かもしれません。

血液とは「人体の中を常に流れ続けていて、怪我などをした時に血を止める効果を持つ赤い液体」です。

或いは「酸素や栄養などを体の各部に運び続け、細菌やウイルスなどを撃退する力を持つ赤い液体」です。

ア:「心臓から送り出される」は○です。

イ:「不要物は運ばない」は合ってそうな気もしますが、「不要物全て」は✖️です。

上記リンクでご紹介しましたが、社会でも理科でも「全否定は基本的に✖️」です。

何かを「完全に否定する」のは「例外を一切認めない」ことで、極めて困難なことだからです。

ウ:「肺で酸素を受け取る」は◯です。

エ:酸素でもなんでも「何かを渡した後は青色」は✖︎です。

この問題は、

いつも赤色だから、
何かしたら青色になるかも・・・

と、「考えすぎて間違えてしまう」かもしれません。

理科は知識も大事ですが、

血液が青色?
なぜ、そんなことが?

と、常識を持って考える姿勢も大事です。

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上記のような感じにメモって、「青色」などは注意するようにすると良いでしょう。

(7)の答え

人体の中を常に流れ続けていて、怪我などをした時に血を止める効果を持つ赤い液体(良い例)

酸素や栄養などを体の各部に運び続け、細菌やウイルスなどを撃退する力を持つ赤い液体(最も良い例)

身体の中を回っている赤い液体(良くない例:性質に関する説明がない)

怪我をすると身体から出てくる赤い液体(良くない例:血液の役割の説明がない)

選択肢:イ、エ

血液は男性の体重の約8%、女性の体重の約7%と、かなりの量があります。

そして、全血液量の1/3ほどを失うと死にいたる「身体に不可欠の液体」です。

個人差はありますが、概ね5分で身体全体を一周して心臓に戻ってくるのが血液です。

自然界のモノは多様:感覚を大事にする姿勢

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今度は「れき」に関する問題です。

この問題は、理科の全分野にわたる事柄が含まれていて、横断的な学びにちょうど良いです。

れき(礫)は石の一種ですが、「れきとは何か?」は普通はなかなか考えないことです。

石のことは
たくさん勉強したけど・・・

カコウ(花崗)岩とか
色々覚えたけど・・・

新教育紀行
氷川国際ます釣場(新教育紀行)

石はちょっと旅に出て自然豊かなところにいくと、いくらでも出会うものです。

上記リンクでは、東京都奥多摩での釣りの話をご紹介しました。

れきとは「直径2mm以上の小さい石」です。

この「直径2mm以上」は定義(決まり事)で、「直径2mm未満は砂」と扱います。

「直径1mm程度は砂か、れき(石)か、どっちなのか」と困ってしまうので、決まり事を作っています。

ア:「どれも」と「全てのれき」を対象としているので、✖️です。

上記で「全否定は✖️」と説明しましたが「全てを対象とした大きな性質は基本的に✖️」です。

ここで「大きな性質」としたのは、例えば「血液は全ての人間にある液体」ならば○です。

全ての人間」よりも「全てのれきは」というのは、大きな性質で強く限定するので大きく異なります。

「全て黒」などだと「例外なしで黒」であり、実際白いれき等もあるので、✖️です。

イ:「どれも角ばった」もアと同様に「全てのれき」なので✖️です。

実際には、川などで「丸いれき」も沢山あります。

ウ:「地層に必ず含まれている」は合ってそうですが、「必ず」は「例外なし」なので✖️です。

地層には、れき以外の様々な石、砂、土(泥)などが含まれています。

そのため、地層によっては「泥ばかりで、れき等が全然ない」部分もあります。

エ:「どれも大きさは2mm以上」は、決まりごとなので○です。

これは、小学生にはかなり細かい知識で、知っている方は少数でしょう。

ここまで細かな知識を
覚えなければならないの・・・

2mm以上とか
言われても・・・

れきの定義を知っている方は、地学の専門家を除けば、極めて少数派です。

こういう「超細かい知識」は、出会ったら、

あ、そうなんだ・・・
知っておこう・・・

と覚えると良いでしょう。

もし、試験場で、このような「超細かい知識」に出会ったら、

「れき」って
小さい石だよね・・・

でも小さかったら、
砂と区別するのが難しいから困りそう・・・

とすると「2mm以上」というのは
合ってそうだな・・・

と臨機応変に考えると良いでしょう。

ここで、もし「3mm以上をれきと呼ぶ」ならば、

3mmはちょっと
大きいかな・・・

2.5mmくらいの
れき(石)は砂?

ちょっと
違うかな・・・

何事も「暗記しなければ」ではなく、考えてみて「感覚を大事にする」姿勢も大事です。

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上記のようなメモとなります。

ここで「自然界のモノは多様」とメモしたのは、「自然にあるものは、いろいろ」という意味です。

建物を構成する鉄の梁・鉄製品など「人工物」は、「ある程度一定の性質」があります。

ところが、自然界のものは色・形等に関して「全て〜」ということは、ほとんどないのが現実です。

(8)の答え

直径2mm以上の小さい石(良い例)

直径2mm以上の小さい石、岩石の破片で角ばった形、丸い形など様々ある(最も良い例)

小さい石(良くない例:大きさの説明がない)

川などでよく見かける石(良くない例:少し抽象的)

選択肢:ア、イ、ウ

次回は下記リンクです。

新教育紀行

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