前回は「暗記が得意になる勉強法〜効率的に暗記・「暗記は苦手」から「暗記は得意」に・「歴史の時間」を実感・人間模様をイメージ・人物像を思い浮かべる姿勢・歴史は個性的人物たちが織りなす物語〜」の話でした。
徳川幕府から新政府への流れ:幕藩体制の実態
今回は歴史の流れを知って、知識を深めて暗記・記述問題の対策とする話です。
「徳川幕府と幕藩体制」そして、版籍奉還から廃藩置県への流れに関する話です。
版籍奉還と
廃藩置県って、どっちが先だっけ?
版籍奉還は1869年って
覚えたけど・・・
結局、版籍奉還って、
どういうことなんだろう・・・
版籍奉還から廃藩置県の流れは、明治新政府の人間模様が様々交錯しました。
今回、その流れをおさらいして、明治新政府幹部たちの考え方から、出来事や時代背景を学びましょう。
徳川幕府を討幕(倒幕)して、明治維新を成し遂げた新政府の幹部たち。
藩を無くさなければ、
近代日本はつくれない・・・
諸藩の持つ権限が強すぎて、
新政府の権力が小さすぎる・・・
特に政治を主導していた薩摩・大久保利通と長州・木戸孝允の「廃藩への思い」は強かったのです。
徳川時代の各藩は、徳川幕府の支配下にありました。
徳川幕府末期以前、幕府の勢力が強い時は「幕府の命令を聞かなければならない」立場でした。
ところが、各藩における政治・経済に関しては、各藩ごとの藩主に裁量権がありました。
参勤交代のために各藩が設置していた江戸藩邸(上・中・下屋敷)。
藩邸は「幕府といえども簡単には侵入できない領域」でした。
幕末、薩長同盟締結などで活躍した坂本龍馬は、維新前夜に暗殺されてしまいました。
龍馬・中岡が土佐藩邸にいれば
暗殺されずに済んだのでは・・・
坂本龍馬が土佐藩邸にいたならば、「暗殺は不可能」だったでしょう。
坂本龍馬・中岡慎太郎が暗殺された際は、彼らは土佐藩邸から目と鼻の先でした。
むしろ、「土佐藩邸の目の前」の一軒家にいたのです。(上記リンク)
土佐藩邸には多くの土佐藩士・武士がいるため強力な防衛力を持ちます。
そして、権限上も「侵入すること」は極めて困難です。
坂本龍馬と「たまたま同席した」と言われる中岡慎太郎。(諸説あり)
彼ら二人が土佐藩邸にいたならば、犯人が誰であっても「坂本龍馬を暗殺」することは不可能でした。
ただ一つの例外は、「土佐藩内部の人物が暗殺者」であることでした。
このように、「徳川幕府が盟主」であり「各藩が独立国家」だったのが幕藩体制の実態でした。
「独立国家の集合体」の江戸時代:藩独自の通貨「藩札」
いわば、各藩の藩邸は徳川幕府に対して治外法権を持っていた状況でした。
各藩は独立国家のような存在であり、江戸時代の日本は「独立国家の集合体」とも言える体制でした。
この政治・行政システムも重要ですが、同様に重要な存在が各藩発行の「藩札」です。
「藩札」は「ある藩が発行した紙幣」で、その時々で価値が変わりますが取引上有効なお金です。
徳川時代は幕府が正式に認める金・銀・銭以外に藩札があり、藩札の種類は非常に多かったのです。
色々なお金があっては、管理するのは非常に大変です。
維新新政府の政治家たちは考えます。
お金の種類が多いと、
管理するのが大変だ・・・
徳川幕府は、
どうやって管理していたんだ?
管理できないで、
「市場原理に任せていた」だけではないのか?
シンプルにしないと、
近代国家にならない!
政治・行政からお金などの経済システムに
至るまでシンプルに!
全て「新政府直轄の管理」に
する必要がある!
藩は全て無くして、全ては政府直轄の中央集権化。
これを断行する!
廃藩への猛烈な反対者・島津久光
「時代の流れ」を感じていた藩主の多くは、
それは、
分かっているのだが・・・
私は殿様で
あり続けたいのだけど・・・
「自分が殿様」という立場を変えるのは、抵抗感があるのが現実でした。
特に「廃藩」の新政府の方針に当初から猛烈に反対している、非常に厄介な人物がいました。
廃藩なんて、
あり得ない!
おい、
一蔵(大久保利通)!
幕末の薩摩島津藩の「事実上の藩主」であった島津久光でした。
大久保利通と名を変えた大久保一蔵は、幕末まで島津久光の家来でした。
「利通」なんて勿体ぶった 名前に変えたが、
お前は大久保「一蔵」だろう!
この人物の怒りは、全く収まる気配がありません。
一蔵よ、
お前一体何考えているんだ!
お前は、
私の家臣だろう!
おいっ、一蔵!
西郷よ!
・・・・・
西郷隆盛や大久保利通にとって「かつての主人」であった島津久光。
・・・・・
「かつての」というよりも、「つい最近まで」久光の家臣だったのが大久保と西郷でした。
島津久光に対しては様々な評価がありますが、薩摩を率いた優れた人物でありました。
そして、自らの見識に強い自負を持っていた久光にとって、
廃藩なんぞ、
勝手なことするなよ!
分かってんだろうな!
一蔵!
討幕の原動力となったのは、薩摩藩の底力が大きかったのが現実でした。
誰のおかげで
討幕できたと思っているのだ!
・・・・・
徳川軍と戦った
主たる軍勢は、どこの藩だったのだ?
・・・・・
我が薩摩藩の軍事力と
財政力で、討幕をしたのではないのか!?
・・・・・
その薩摩藩を
一体何だと思っているのだ!!!
よりによって、「薩摩藩の解体」につながる廃藩は、久光にとって「論外」でした。
廃藩など絶対に
許さぬ!
お前たちが強行するならば、
私にも考えがある!
「時代が変わった」とはいえ、事実上の旧藩主であった島津久光は薩摩藩に最強の力を行使できました。
時代が変わったことを
久光様には、ご理解頂きたいのだが・・・
あの方は、本気で
薩摩に動員令を掛けかねない・・・
軍事力で討幕した大久保・木戸たちにとって、「さらに軍事力で政権転覆」はあり得る事態でした。
そうそうに、廃藩を
強行したいが・・・
少し時間を
掛けた方が良さそうだな・・・
うむ・・・
島津家を敵に回すわけにはいかんな・・・
次回は上記リンクです。