前回は「歴史の選択肢問題を解くコツ〜正しくない答えをサッと除外・現代生活と過去の生活をイメージ・「典雅な京文化」の室町時代〜」の話でした。
合格を目指す戦略:選択問題が多い理科と社会で合格点確保
前回までに、2024年に女子学院中で実際に出題された社会の大問1の問6まで考えてみました。
女子学院中の場合、2024年社会は大問4問に「それぞれ小問が8問程度」ある構成です。
筆者は、試験問題の構成としては「選択肢問題より記述式の方が望ましい」と考えています。
記述式の方が「受験生の思考力を、よりしっかり問う」傾向があるからです。
一方で、採点者側の視点からすれば、
記述の方が良いのは分かるが、
採点の負担が大きい・・・
「選択式問題の方が採点が早く済む」メリットもあります。
そして、選択肢問題の中にも「思考力をしっかり問う」問題が見受けられるのも事実です。
この視点から考えると、女子学院中の問題は「思考力を問う選択肢と記述問題」で大変バランスが良いです。
「良い問題」ですが、小問が(1)と(2)に分かれていることもあり、全部で45問ほどあります。
筆者は問題を全体的に見渡してみて、
結構問題数が
多いな・・・
これだけの問題を
解くとなると、試験時間は50分くらいかな?
こう考えて、試験時間を確認すると「40分」でした。
この大量の問題を40分で
こなすのか・・・
細かな問題をカウントすると45問ほどなので、「一問あたり一分以下の時間」となります。
たった40分で「ある程度の正答」を
得るのは、かなりハードルが高い・・・
筆者は、選択肢問題等にしても「一問あたり平均一分以上」となるのが望ましいと考えます。
問題の難易度が高いだけでなく、「一問あたり一分以下」は「少し問題数が多すぎる」と考えます。
「選択肢問題中心」や「選択肢+記述」や「記述中心」など様々な出題形式があります。
いずれにしても、おおむね「選択肢が多い」傾向が強い理科・社会。
中学受験〜大学受験では、算数・数学の影響が強いですが、理科・社会で「固める」姿勢が大事です。
今回は、選択肢が多い理科・社会において、合格を目指す戦略を考えてみます。
合格目指す「僕だけ」「私だけ」の防衛ライン
受験は「紙の上の戦い」と表現しても良いと考えます。
この時、とにかく「勝つ=合格する」ことをハッキリと目指す姿勢が大事です。
「紙の上の戦い」である試験においては、自分が「攻撃か防衛か」という視点があります。
基本的に減点法であり、「100点満点から出来ない問題の点数分減点」となります。
ここで、満点の数字は変わることがあり、「100点満点」はイメージです。
この時「出来るだけ減点を減らす」のは防衛的発想となります。
一方で、「答えなければ始まらない」ので、「とにかく答える」と攻撃的発想になります。
「攻撃と防御は表裏一体」の面があり、試験への姿勢が攻撃と防御のどちらかは、個性にもよります。
ここでは防衛的姿勢で「合格を目指すために守るべき点数」を設定します。
以前、上記リンクで「防衛ライン」の話をご紹介しました。
この時と同様に、女子学院中2024年社会で防衛ラインを考えてみましょう。
・出来るだけ頑張って確保・堅守する「防衛ライン」
・当日の出来・調子によって、万が一多少突破されてしまっても合格ライン確保
45問程度あり、配点は多少異なりますが、100点満点で考えると概ね2〜3点です。
「1点が大事」な試験では、「2点と3点は大違い」です。
おそらく記述問題は配点が高いので、出来るだけ記述は確保したいです。
いずれにしても、ここでは大雑把に「確保する問題数」を考えてみましょう。
倍率や難易度によりますが、概ね試験は2/3=約67%確保すれば合格ラインになります。
ここでは、「合格ラインの約67%」に5%を追加して「約72%を防衛ライン」としましょう。
72%ということは、
18/25だから・・・
45問に対しては、
32問くらいかな・・・
仮に防衛ラインを突破されて「5%ダウン=2〜3問を間違える」でも合格ライン確保となります。
そこで、具体的に「32問をしっかり確保」と考えます。
なかなか難易度が高い問題が並ぶ中、40分で32問/45問の確保は「非常に高いレベル」になります。
ここで、筆者は「目標」ではなく「防衛ライン」と考えることが大事と考えます。
「目標」は文字通り「目指すべきライン」であり、合格目指すには「絶対確保するライン」が重要です。
また、社会が得意・不得意によって、防衛ラインは少し変えても良いでしょう。
いわば、「僕だけ」「私だけ」の防衛ラインを志望校に対して設定することが大事です。
防衛ライン堅守の学びと模試の活用
上記問題で「32問確保」は、かなり高い学力が必要です。
来年受ける時、
それくらい出来るようにならないと!
一方で、逆に考えると「13問を間違えて良い」ことになります。
そっか・・・
13問は落としても良いんだ・・・
このように考えるとき、「40分で45問」を解く際は「全然分からない」問題は「飛ばす」のが良いです。
個々人の学力や指向性によって、得意・不得意分野があります。
問題文をパッと読んで、
あれ・・・
全然分からない・・・
こう感じたときは、「考えても正答に至らない」可能性が高いです。
こういう時は、
もういいや・・・
大体の勘で答えを書いておこう!
ざっと「自分が絶対違う」と考える答えだけ除外して、勘でも答えを書いて次に行きましょう。
このように「短時間で大量の問題を解く」ときは、「見直し時間はなし」でも良いでしょう。
その代わり、「最初に問題文全体を見て、ざっとした傾向を掴む」ことは大事です。
・約72%の問題数確保で防衛ライン設定
・「見直し時間なし」でも「最初に問題文全体見る」発想
秋頃から、模試等で「しっかり防衛ライン守る」発想で試験を受けると良いでしょう。
それまでは、「過去問と問題集解きながら知識を増強」とする姿勢で学びましょう。
学ぶ際は、下記リンク等でご紹介している「どう正答に至るか」の合理的発想もお勧めします。
次回は上記リンクです。