前回は「日本の国土と諸外国との関係・記述・自分の意見〜日本周辺国との外交関係と領土・領土・島に対する日本政府の姿勢・国境が全て海上にある日本・極めて複雑な北方領土〜」の話でした。
戦火広がる世界情勢と日本:世界の現実と時事問題
2022年2月の突如開始したロシアによるウクライナ侵攻。
ロシア側は「短期決戦」と考えていましたが、西側諸国が団結してウクライナを支えました。
その結果、長期戦の様相を呈する状況となり、2024年1月現在も全く「停戦の方向」すら見えません。
上の写真は2022年のウクライナ首都・キーウにおけるマンションの「砲撃された」状況です。
この写真だけでも、日本人の感覚としては恐ろし状況ですが、現況はさらに悪化している状況です。
砲弾や銃弾が飛び交って、戦争に従事する軍人のみならず民間人もが連日亡くなっています。
極めて大変な事態ですが、戦場で砲弾を受けたら身体の一部が吹っ飛んでしまう可能性もあります。
そして、ロシア・ウクライナ軍ともに「手足の一部がなくなった」方が多数出ています。
そのため、「義足・義手が不足している」という報道もあるほどです。
広大な領土を持ち、穀物などの産出量が極めて多いウクライナ。
ウクライナ周辺は、歴史的に戦争が多い地域でもあります。
ウクライナ戦争停戦の見通しがたたない中、今度はイスラエル・ガザで戦争が発生しました。
第二次世界大戦後も世界各地で戦争が勃発していますが、現在は「戦争が多発している」状況です。
イスラエル・ガザ戦争は、イスラエルという国家の成り立ちなどが非常に重要です。
イスラエルのことは、
よく知らないけど・・・
イスラエルって
中東の国だよね・・・
世界情勢において、イスラエルという国家の存在も重要です。
小学生〜高校生も知っておくと良いでしょう。
まずは、イスラエルの「国の位置を知っておく」姿勢が大事です。
イスラエル・ガザ戦争は歴史的背景が複雑すぎることもあり、大人でも理解するのは困難です。
中学受験ではイスラエル・ガザ戦争に関して、細かな知識を問う出題はないと考えます。
戦争をしている国家の位置と日本:FENからAFNへ
日本人にとって「世界地図」とは「日本を中心とした地図」です。
ところが、世界の多くの地域にとっては、「世界地図」とは上の地図です。
ヨーロッパから見て日本は、北極・南極と同じように「東極」に位置し、極東と呼ばれます。
Japanは
Far East(極東)にある・・・
欧州・米国にとって、「東の端」に位置しているJapanという国は「遠い存在」であり続けました。
現在、飛行機などの発達やネットの普及で「世界は小さくなった」ですが、状況は似ていると考えます。
在日米軍が放送しているAFN(American Forces Network、アメリカ軍放送網)は、かつて、
在日米軍向けの放送は、
FEN(Far East Network、極東放送網)だ!
日本が「Far East(極東)」にあるので、Far East Networkという名称でした。
現在は”Far East “というのも前時代的なので、AFNに名称を変更しました。
日露戦争とウクライナ戦争を関係づけた話をご紹介しました。(上記リンク)
上のような地図において、
ロシア・ウクライナの国は
どれですか?
「主要国家の位置」はすぐに答えられるようにしておきましょう。
上の問題の答えは、下記です。
(ア)-中国(中華人民共和国)
(イ)-モンゴル
(ウ)-ロシア(ロシア連邦)
(エ)-カザフスタン
(オ)-ウクライナ
(カ)-ベラルーシ
(キ)-フィンランド
(ク)-米国(アメリカ合衆国)
(ケ)-英国(イギリス)
(コ)-フランス
ウクライナ戦争に関しては、およその概要を知り、上の国家の位置はしっかり覚えておきましょう。
時事問題の効果的対策:国家の位置の理解+丸暗記ではなく概要理解
中学受験において、時事問題は大学受験よりも出題される頻度が高いかも知れません。
そのため、中学受験の時事問題に関する参考書は結構分厚くて、大人が読んでも、
ああ、そうなんだ、
これは知らなかったな・・・
これは
こういうことだったんだ・・・
こう感じることが沢山あります。
ウクライナ戦争の背景には、上の地図の「NATO北大西洋条約機構の猛烈な東進」が理由の一つです。
ところが、日本は「Nato加盟国ではなくオブザーバー」に過ぎないので「身近ではない」のが現実です。
「身近でないこと」なので、時事問題をまとめた参考書や問題集を見ると、
これ、全部
覚えるの?
歴史や生物だけでも
大変なのに、難しいよ・・・
「難しい」と感じる方が多いでしょう。
時事問題は数多くの事柄がまとめられているので、勉強する中学受験生は大変です。
そこで、時事問題に関しては「大事なことのみ覚える」ようにしてあとは「概要理解」にしましょう。
・ウクライナ戦争に大きく関与する主要国家の位置・国家元首を覚える
・概要や流れを理解しておく(丸暗記は不要)
概要や流れに関しては、詳しく知っているに越したことはないでしょう。
これらの時事問題を出す場合、出題者は、
基本的なことは
知っていて欲しい・・・
例えば、ロシアと
ウクライナの国の位置は大事!
他のことは
文章などを読んで、理解力を問いたい・・・
こう考える出題者が多いでしょう。
余力があれば、主要国の国旗のデザインもある程度知っておくと良いでしょう。
この時、細かすぎることは「暗記してるか」ではなく「問題文を理解して解く」ことが多いと考えます。
かつて旧ソ連をボスとした「ワルシャワ条約機構」があり、これがNATOと対抗していました。
戦後の「冷戦時代」と呼ばれた時代で、ソ連崩壊まで続きました。
1991年にソ連が崩壊してしまい、ワルシャワ条約機構もまた解体してしまいました。
ワルシャワ条約機構に代わる軍事同盟として、上海協力機構が2001年に誕生しました。
すでに20年以上の歴史を持っている上海協力機構。
中心となるのは中国とロシアで、インドも加盟していることが大きなポイントです。
パッと見た感じでは、ワルシャワ条約機構よりも上海協力機構の方が「広大な同盟関係」です。
・ワルシャワ条約機構で加盟国だった東欧諸国が、上海協力機構では加盟していない
・ワルシャワ条約機構で加盟国ではなかった中国・インドなどが、上海協力機構では加盟
つまり、ワルシャワ条約機構から上海条約機構へ地域的な大きな変化があります。
・東欧諸国が抜けて、アジアの諸国が加盟
→欧州からアジアへの勢力拡大:中国とインドの台頭が背景
北体制滋養条約機構NATO、上海条約機構SCOいずれも加盟していない日本。
現実的には、「日本は同盟国が少ない」状況と言っても良い状況かも知れません。
その中、米国との「日米安全保障条約に頼っている」のが実情です。
そもそも、NATOをロシアのプーチン大統領が敵視しているには理由があります。
NATO加盟国が増加し、
我がロシアに近づいてくるのは許せん!
それは、軍事条約としてのNATOが極めて強力だからです。
欧州又は北米における一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなす
(第5条)
つまり、「NATO加盟国のどこかの国への武力攻撃=NATO全加盟国への攻撃」となります。
これは、周辺諸国に対しては極めて強力な抑止力です。
NATO加盟国には、世界最強の米国に加えて英国・フランス・ドイツなどがいます。
NATO加盟国のどこかを
攻撃しようしたら・・・
それは、その国のみが攻撃されたのではなく、
米国・英国などの国も「攻撃された」とみなします・・・
そして、世界最強の米軍だけではなく、
英軍・フランス軍・ドイツ軍などが一斉に出動します・・・
このように超強力な軍事同盟であり、過去のどんな軍事同盟よりも強力な連帯感となっています。
世界には様々な同盟や協定の枠組がありますが、「NATOは世界最強の軍事同盟」です。
NATOに関しては、この「加盟国同士の極めて強い連帯感」をイメージしておきましょう。
時事問題に関しては「主要国家・国家元首の暗記」にとどめ、ストーリーや概要の理解で十分でしょう。
あとは試験問題の文章をよく読んで、「概要理解を基に考える」姿勢が良いでしょう。
次回は下記リンクです。