前回は「複雑な図形問題の大事なポイント〜正三角形・同じ考え方の図形に共通する性質・正三角形HFCと正三角形IDC・面積が分かるためには「何が分かれば良いか」を考える・問題10(2)解法〜」の話でした。
問題10(再掲載)
相似形を見つける:平行な線に注目
HJ : JCの比を知りたいのですが、「図形の中で相似形」が、なかなか見当たりません。
相似形が見つからないと、
解けないよ・・・
これまで分かっていることで大事なことは、「AIとBCが平行」であることです。
平行な線が一組あると、相似形がたくさん見えてくる傾向があります。
平行な一組の線に対して、異なる線があるとき「相似形ができやすい」のが大きな特徴です。
それは分かっているけど、
相似形が、見つからない・・・
「平行な線があれば、相似形は必ずある」と考えましょう。
そして、自分で図形の外に出て行って、世界を広げましょう。
補助線を図形の外に引いて、図形問題を解く話を上記リンクでご紹介しています。
相似形が見つからなければ自分で「相似形をつくる」
(1)に比べて、かなり大きく外に出てしまいます。
下図のように、IDとCBを延長した交点Kをつくります。
かなり大きく外に出たので、元の図形を小さくして描きました。
こんなに
遠くに線を延長して良いの?
大変そう
だけど・・・
慣れれば、少し図形の外に大きく出ても「感覚的に分かる」ようになるでしょう。
「しっかり分かる」状況になるまでは、こういう図形は省略せずに、大きな紙に描いてみましょう。
一度でも良いですから、実際に描いてみましょう。
すると「相似形が、ありありと分かるようになる」でしょう。
ちょっと
大きいけど・・・
実際に描いて見ると、
確かにわかる!
この「描いてみて、頭でパッとイメージ出来るようになること」が大事です。
このように「平行な線がある」場合は、「必ず相似形がある」と考え、なければ作りましょう。
・「相似形が必ずある」と考えて、相似形を探す
・相似形が見つからないときは、「相似形を作って考える」姿勢
問題を解く勘を磨く:「遠回り」や「無駄」から分かること
ちょっと大きすぎかな?
違うかな?
本当にこれで
良いのかな?
このように「ちょっと大きいかな」と思う方が、いらっしゃるかもしれません。
実際の入試では、「図形などを拡張しすぎると時間がかかる」可能性があります。
それでも、手が止まっているよりは良いかもしれません。
そのため、上のように「外に大きく出る」図形は省略して考えられると良いでしょう。
「にらめっこ」しないで手を動かして学力を上げる話を、上記リンクでご紹介しています。
いずれにしても「どんどん描いみて、相似形を探してみる」姿勢が大事です。
自分で描いた「補助線」や「図形の外に出てみる」が「解にたどり着かない」可能性があります。
「正解にたどり着く」のが大事という視点では、こういう行為は「無駄」になるかもしれません。
あっ・・・
出来なかった・・・
答えにたどり着かないから、
無駄になっちゃった・・・
あるいは「遠回りな考え方」になることもあるでしょう。
「本質的思考力を鍛え、学力を上げる」ためには、「無駄なこと」「遠回りな考え方」が最も大事です。
無駄なことを実際にやってみると、「図形問題の補助線などの勘」が磨かれてきます。
その意味では、「無駄なこと」は「無駄ではなく、学力が大きく上がっている」のです。
・解答に至らない「無駄なこと」が大事
・「遠回り」や「無駄」を経験すると、試験で「何が大事か」の感覚が磨かれる
こういう「勘」は参考書や問題集をいくら眺めていても、なかなか身につくものではありません。
「自分で考えて、試行錯誤する過程」で身についてゆくものです。
そして自分で考えて、自分の手を動かしたことは、大事です。
一生懸命参考書や問題集を読み込むよりも遥かに身について、「本当の学力」になってゆきます。
他にも考え方はありますから、自分で色々と考えてみましょう。
次回は下記リンクです。