前回は「歴史的経緯から意見を述べる姿勢〜ヤルタ会談と連合国の密約・時事問題と世界情勢と歴史を考える・北方領土問題と日ロ関係・ソ連のスターリンとドイツのヒトラー・独ソ戦と日本〜」の話でした。
受験と時事問題:何を知っておくべきか
2022年〜23年の最重要時事問題は、ウクライナ戦争です。
ただし、内容としては扱いにくい対象です。
中学受験で「小学生に問うのが適切かどうか」という議論もありそうです。
大学受験・高校受験では出題される可能性があり、中学受験では「出題可能性が高くはない」と考えます。
「対象としにくい」移民問題を出題した麻布中の話を、上記リンクでご紹介しています。
移民問題より「更に対象としにくい」特攻隊を国語で出題した武蔵中の話を、上記リンクでご紹介しています。
麻布や武蔵、「近年記述が増えた」難関〜最難関校でも出題の可能性はあるでしょう。
昨年2022年2月下旬に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻。
「ロシアがウクライナ侵攻するのでは」という懸念はありましたが、世界中が驚愕しました。
来月2月で開戦後1年となりますが、停戦の兆しすら全く見えません。
それは、ロシアとウクライナの主張が完全に平行線で、妥協点が全く見出せないからです。
以前、ロシアとウクライナの位置を考えました。
(ア)-中国(中華人民共和国)
(イ)-モンゴル
(ウ)-ロシア(ロシア連邦)
(エ)-カザフスタン
(オ)-ウクライナ
(カ)-ベラルーシ
(キ)-フィンランド
(ク)-米国(アメリカ合衆国)
(ケ)-英国(イギリス)
(コ)-フランス
まず、ロシア・ウクライナ、関与する米国・英国・中国などの大国の位置は把握しておきましょう。
そして、ザッとした経緯は把握しておき、細かな内容は「暗記する必要はない」と考えます。
「文章で説明して、その内容をもとに考える」出題の可能性は、あると考えます。
開戦前のロシアとウクライナの戦力:ウクライナとロシアの国力
開戦前、ロシアは「短期間でウクライナを制圧」と考えていたようです。
開戦前のロシアとウクライナの国力・戦力を比較しましょう。
2022年2月26日のCNNによると、開戦前のロシア軍とウクライナ軍を比較し、「巨人と少年」と表現しています。
「巨人と少年」では、戦争をしたら「戦争にならない」と考えるのが妥当だと思います。
具体的に、ロシアとウクライナの戦力を比較してみましょう。
項目 | ウクライナ | ロシア | ロシア/ウクライナ |
現役兵力(万人) | 19.6 | 90 | 4.6 |
装甲車(両) | 90 | 200 | 24.8 |
航空機(機) | 3,309 | 15,827 | 10.5 |
ヘリコプター(機) | 132 | 1,391 | 17.2 |
潜水艦(隻) | 0 | 49 | ∞(無限大) |
防衛費(億ドル) | 4.7 | 45.8 | 9.7 |
上の表の通り、確かに「巨人と少年」です。
ロシアがウクライナの、兵力は4.6倍、防衛費や航空機は約10倍です。
さらに地上戦では非常に大事な装甲車に至っては、ロシアが約25倍あります。
潜水艦はウクライナの保有なしですが、「地上戦主体」なので、それほど大きな差ではないかも知れません。
上記の通り、軍事力では、まさに「巨人と少年」のようなロシアとウクライナ。
両国の国力を比較してみましょう。
項目 | ウクライナ | ロシア | ロシア/ウクライナ |
GDP(億ドル) | 112 | 1,578 | 14.1 |
原油産出量(億バレル) | 0.6 | 112.6 | 204.7 |
天然ガス生産量(km3) | 20 | 634 | 31.7 |
粗鋼生産量(千t) | 21,366 | 75,970 | 3.6 |
ソースが様々で、数字の精度や年数に少しばらつきがあります。
国力を比較すると、GDPでは、ロシアはウクライナの約14倍であり、これも非常に大きな違いです。
「欧州の穀倉地帯」と呼ばれるウクライナ、小麦などの生産量が非常に高いです。
原油・天然ガス共にロシアの方がはるかに多いですが、それは「ロシアが世界的に際立って多い」ことによります。
資源が世界一位のロシアに対して、ウクライナは「一定の資源を有する」と考えられます。
さらには、鉄などの粗鋼生産量では、ウクライナはロシアの約30%ほどであり非常に大きな生産量を有します。
ウクライナは
鉄の生産量が多いんだね・・・
ウクライナ戦争の行方:西側諸国の強力な支援
上記のような隔絶した軍事力・国力の差があるので、ロシアは「短期で勝てる」と確信したのです。
ところが、予想外に戦争は長期化し、さらには「ロシア軍が押される」という事態に至りました。
これは、「想定外の事態(ロシア側から見て)」です。
非常に広大な面積を有し、世界有数の強国ロシア。
様々な資源を有し、特に食糧・穀物の生産力は世界有数のウクライナ。
開戦直後は、「まもなくウクライナの首都キエフ陥落か」という声もありました。
ところが、ロシアの思惑に大きく反して、ウクライナが反撃しました。
それは、米英仏などの西側諸国が、総力を上げてガッチリ連携してウクライナを支援したからです。
上記のような「国力比較」の数字を暗記する必要は全くありません。
これらの事実を元に、
ウクライナ戦争に関する
下記の文章を読んで、問いに答えなさい。
文章と共に「出題される可能性がある」ので、概要を頭に入れておくと良いでしょう。
次回は下記リンクです。