前回は「理由を自分なりに考える姿勢〜軍事国家大日本帝国の歴史・新興国大日本帝国vs歴史的強国ロシア帝国・奇跡的大勝利だった日本海海戦〜」の話でした。
問題(5)(6)
「あなたの意見」をハッキリ書く姿勢:「知っていること」と意見
ウクライナ戦争に関連して、日本(大日本帝国)がロシアと戦った日露戦争のオリジナル問題です。
このように「あなたの知っていること」と「あなたの意見」を尋ねる記述問題が、最近よく見受けられます。
上の問題は「日本が勝利できた理由」を考える問題で、やや難しい問題です。
こういう問題は、もし、
ちょっと、
分らない・・・
「知っていること」が
ないから、意見も書けない・・・
「分からない」「知らない」と感じることがあっても、「分かる範囲で」書きましょう。
でも、「知っていること」が
ないと、「意見」につながらないのでは?
「知っていること」が前提で、その後に「意見」があるので、そういう面もあります。
一方で、こういう問いを出す出題者が聞きたいことは、実は「知っていること」より「意見」なのです。
知っていることも大事だが、
考える力や意見を問いたい・・・
「あなたの意見を聞きたい」のですが、突然「あなたの意見を書いて下さい。」と言われると、大抵の方は困ります。
大人だって、突然、
〜の件で、
あなたの意見を書いて下さい。
こう言われたら、
突然、意見を、と
言われても困る・・・
大抵の方は困るのです。
この「大人でも困ること」を問題にするのは、出題者が、
中高生の間に伸びる力を
持っているかを知りたい・・・
意見だけを尋ねるのは、
回答者も大変だから・・・
まずは「知っていること」を
答えてもらうと良いかな・・・
「あなたの知っていること」を前触れにして、「あなたの意見」を求めているのです。
このように意見を尋ねるのは、1990年武蔵中などで出題されています。(上記リンク)
大きな反響を呼んだ、2022年の麻布中学の社会の入試問題。(上記リンク)
「移民問題」に関してですが、これは「大人や大学生が尋ねられても困る」問題です。
それを、あえて「小学生である」麻布中受験生に「尋ねた」のです。
見方によっては、「小学生相手に行き過ぎ」という意見もあるでしょう。
あるいは、「とても良い」という意見もあるでしょう。
いずれにしても、「知っていること」が「ない」あるいは「ほぼない」でも、想像してみるのも良いでしょう。
世の中に報道されたり、書籍・ネットに記載されていることは事実の一部であることも多いです。
そして、政治的内容や二国間・多国間関係は、「表に出ない事実」もまた多いのです。
そこで、「どこかに書いてなくても、想像したこと」が「ある」あるいは「あると考えられる」こともあります。
日本海海戦勝利の大きな理由
日本海海戦で欧米先進国の多くの予想を「裏切って」大勝利した日本海軍。
バルチック艦隊がロシアからやってきた時に、日英同盟が非常にだった話を上記リンクでご紹介しています。
勝利した最も大きな要因の一つが、日英同盟および英国の積極的協力でした。
・日英同盟を結んでいた大英帝国が、全面的に日本を支援した。
・大英帝国が、諸外国に働きかけをして、日本に有利な世論になることに協力した。
・影響力の強い大英帝国が、日本が戦争に必要な費用の借入などに協力した。
上のようなことが、考えられます。
今回は、勝利に実際に貢献した日本海軍の組織を想像してみましょう。
東郷平八郎 連合艦隊司令長官のもと、戦った日本海軍が大きな成果を上げました。
おそらく、猛烈な訓練をして「一糸乱れず」大いに戦ったのでしょう。
日英同盟、および英国の協力の話は「知っている」ことに含めたいですが、想像もしてみましょう。
戦争に勝った理由を考える:日本海海戦を戦った将兵をイメージ
日本海軍(連合艦隊)がロシア海軍(バルチック艦隊)に勝つために、最も必要なことはなんでしょうか。
日本海軍の攻撃が
バルチック艦隊に大きな打撃を与える、ことかな。
大英帝国の協力は有難いけど、
日本海軍がバルチック艦隊の艦船を倒す、かな・・・
戦争は、上手い外交関係や兵站線(補給など)が非常に大事です。
それらの「外交の駆け引き」や「後方支援」を含めて、全てが「戦争の一部」とも言えます。
一方で、なんといっても最前線で戦う将兵が、頑張って敵を倒さなければなりません。
特に海の戦いである「海戦」は、撃った砲弾が敵に当たらなければ、意味がないのです。
そこで、下記のようなことが想像され、事実でしょう。
・バルチック艦隊が来るまでの長い期間、猛烈な訓練を続け、砲撃の能力・実力を上げた。
・東郷連合艦隊司令長官の元、司令部の将軍(幕僚)たちが一致団結してまとまり、戦いへの明確な方針をまとめた。
・東郷長官・幕僚たちのもと、将兵たちの心が一つにまとまり、バルチック艦隊を迎撃する体制が整った。
これらのことを、自分なりに書いてみましょう。
これらは「事実」であると考えられますが、「本当の事実は何か?」はハッキリしないこともあるのです。
あるいは、日本海軍(連合艦隊の準備」に関しても考えてみましょう。
・バルチック艦隊が来るまでの長い期間、日本海軍(連合艦隊)の艦船の万全なメンテナンスが出来た。
・バルチック艦隊が来るまでの長い期間、幕僚たちが、様々な作戦を検討する時間が出来た。
・バルチック艦隊が来るまでの長い期間、海戦に必要な砲弾などの軍需物資の調達を万全に出来た。
これらのこともまた、「事実」と「意見」の境界が曖昧な点もあります。
歴史は「何が事実か?」というのは、歴史家・専門家の間でも意見が割れることが沢山あります。
これらをまとめ、(6)の答えは、
・日英同盟を結んでいた大英帝国が、全面的に日本を支援した。
・大英帝国が、諸外国に働きかけをして、日本に有利な世論になることに協力した。
・影響力の強い大英帝国が、日本が戦争に必要な費用の借入などに協力した。
・バルチック艦隊が来るまでの長い期間、猛烈な訓練を続け、砲撃の能力・実力を上げた。
・東郷連合艦隊司令長官の元、司令部の将軍(幕僚)たちが一致団結してまとまり、戦いへの明確な方針をまとめた。
・東郷長官・幕僚たちのもと、将兵たちの心が一つにまとまり、バルチック艦隊を迎撃する体制が整った。
・バルチック艦隊が来るまでの長い期間、日本海軍(連合艦隊)の艦船の万全なメンテナンスが出来た。
・バルチック艦隊が来るまでの間、幕僚たちが、様々な作戦を検討する時間が出来た。
・バルチック艦隊が来るまでの期間に、海戦に必要な砲弾などの軍需物資の調達を万全にした。
これらの事実・意見を、いくつか書けば良いでしょう。
次回は下記リンクです。