年号並び替えの問題 2〜版籍奉還から廃藩置県の流れ・「丸暗記」「語呂合わせ」より流れを理解・圧倒的な薩摩・歴史の状況を「身近な例」でイメージ・明治維新の原動力：士族たちと西南戦争〜｜中学受験・社会

前回は「年号並び替えの問題 1〜「年号丸暗記」から「流れ」を理解へ・出来事の相互関係を理解・関係性が強い出来事を結びつける・「分からない」から「分かる」へ〜」の話でした。

年号並び替えの問題 1（再掲載）：版籍奉還から廃藩置県の流れ

今回は（1）を考えます。

年号・年代並び替えの問題、「年号・年代を丸暗記」して対策する方が多いかもしれません。

ある程度、大きな出来事・事件は、年号・年代が頭に入っている必要があります。

例えば、明治維新後の明治初期の出来事・事件ならば、明治維新と西南戦争は非常に大事です。

廃藩置県・版籍奉還・廃刀令も大事ですが、このように考えると、

まずは、年号をチェックしましょう。

以上から年号順に並べると、イ→ア→ウ→エが答えです。

こういう「年号順に並べる」問題は、大抵一つか二つが難しいことが多いです。

そして、「それを間違えると✖️になる」のが悩ましいところです。

「もっと暗記を」という気持ちになるのは良く分かります。

こういう「年号並び替え」は「年号丸暗記」や「年号語呂合わせ」のみで攻略するには、限界があります。

そうなのですが、歴史は「流れが大事」です。

そして、「非常に大事な出来事・事件の年号」は覚えましょう。

何が「非常に大事か」は、様々な意見がありますが、明治維新の頃は下記です。

今回の問題では「明治維新」は登場しませんが、この年号1868年は覚えておきましょう。

明治初期は、この「1868年を軸に流れを考える」ようにしましょう。

「丸暗記」「語呂合わせ」より流れを理解：圧倒的な薩摩の存在

年号を覚えていれば良いですが、「年号丸暗記」だけでなく、「流れ」や「内容」を理解しましょう。

学習マンガでも良いでしょう。（上記リンク）

まず、版籍奉還と廃藩置県の流れは、下記リンクをご覧下さい。

幕末維新（明治維新）の三傑である、西郷・大久保・木戸たち政府首脳。

西郷隆盛の考えは、大久保利通・木戸孝允の二人とは、少し異なっていました。

いずれにしても、新政府の中心人物たちが最も力を入れたのが、これらの政策です。

大政奉還した第十五代将軍・徳川慶喜に戦争を仕掛けて、戊辰戦争・会津戦争などの内戦となった幕末。

新しい世になったのは1868年で、この年に明治維新となります。

1868年は大事な年ですから、これは覚えておきましょう。

新しい世になったら、最初にしなければならないことは何でしょうか。

明治新政府は、最初に「藩をなくす」を実行したかったのですが、出来ませんでした。

300もあった江戸時代の藩。

今は「47都道府県」ですが、その6倍以上の数です。

この「300くらいの藩があった」イメージは持っておくと良いでしょう。

「藩主の考え・思い」は様々でした。

中でも、「明治維新を主導した薩長土肥」と言われますが、内実は薩摩主導です。

薩摩の力は、他の藩を圧倒していました。

その薩摩を率いていた国父（国主でないが、事実上国主）の島津久光は、

強烈な個性を持っていた島津久光は、「廃藩に断固反対」でした。

明治維新の主役の一人の大久保利通。

元々は、薩摩藩士で島津久光の家臣であり、かつては「大久保一蔵」という名前でした。

眼光鋭く、他人を威圧した大久保ですが、

島津久光の言うことは、無視することは出来ませんでした。

比較的「人情家」でもある西郷は、「旧主人」である島津久光の意向は無視できません。

明治新政府では、最高位の存在だった明治維新三傑の西郷・大久保。

元の主人である島津久光の前では、「ただの西郷吉之助と大久保一蔵」です。

これで、イ→アが分かり、これらが最優先なので「廃刀令・西南戦争より先」です。

まずは、イ→アの流れを押さえて、残りのウ、エを考えましょう。

歴史の状況を「身近な例」でイメージ

廃刀令もまた、非常に重要な出来事です。

江戸時代は、士農工商の身分制度のような制度があり、「武士・侍が最上」でした。

江戸時代は、徳川家が日本政府のような役割でしたが、一種の共和制で、各藩が国のような存在でした。

武士・侍は、それぞれの藩・国を守っていたのです。

武士・侍たちは、日常で帯刀して（刀を帯びて）歩いていたのです。

今の世の中ではあり得ませんが、想像してみましょう。

刀・刃物を腰に帯びている人が、日常に街中を歩いているのです。

このように「歴史=過去」の状況を「身近な例」でイメージするのも良いでしょう。

武士・侍は、いきなり刀を振りかざしてくるかもしれません。

普通の人が、武士・侍に斬りかかられたら、どうなるでしょうか。

新しい世の中、当時の欧米（特に欧州）を見習うとき、非常にまずい状況です。

「日常に刀を帯びている」存在は消さなければなりません。

実際、幕末に様々な駆け引きがありましたが、倒幕（討幕）の原動力は「薩長中心の軍事力」でした。

明治維新の原動力：士族たちと西南戦争

西洋の革命と比較すると「かなり穏便だった」明治維新という革命。

「無血革命」と呼ぶ人もいますが、実態は戦争の連続でした。

そして、桐野利秋（中村半次郎）のような「前線で戦い続けた武士・侍」の武力が根幹でした。

実は彼らの武力によって、明治維新は成し遂げられたのです。

この意味では穏便でもなんでもなく、「武力革命」だった明治維新。

対して、大久保は戦場では戦っていません。

こう言われると、大久保といえども反論しずらいです。

いわば、「薩長主導の反乱」で成し遂げた明治維新。

その反乱の中心である武力を有する武士・侍たちの存在は、非常に怖いです。

超強気で、眼光光らせていた大久保。

その後、征韓論（明治6年の政変）で、西郷・桐野らが一斉に退職します。

明治新政府のボス・大久保といえども、元々は薩摩藩士です。

そのため、薩摩藩への配慮と武士・侍・士族への配慮はしなければなりません。

明治政府は「新しい時代」目がけて猛突進します。

そして、武士・侍の階級の解体を徐々に行います。

徐々に押されてゆく旧武士・侍たち。

タイミングを見計らっていた大久保達。

ついに、1876年に廃刀令に踏み切ったのです。

それまでも、武士・侍の反乱が起きていましたが、この廃刀令もまた大きな爆発を呼びました。

そして、西南戦争に至りました。

先に「イ→ア」で、後に「ウ→エ」となります。

答えはイ→ア→ウ→エです。

このように、歴史は年号丸暗記ではなく、流れをしっかり理解しましょう。

すると、このような「年号順」の問題も「年号を覚えてなくても出来る」ようになります。

次回は下記リンクです。